Gardens for Aliens

嫌われ者のフィロソフィ

オオキンケイギクの多様性

 今回は、私が見つけたオオキンケイギク ( Coreopsis lanceolata ) の花のバリエーションを載せていきます。元々園芸植物として導入されただけあり、多種多様です。恐らく、複数の品種が互いに交雑していると思われるため、品種名までは特定していません。

 

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うちの近所では最もよく見るタイプ。

 

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舌状花が細くなるタイプ。

 

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舌状花が多くなるタイプ。舌状花の数や形も様々です。

 

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舌状花の端が丸っこいタイプ。これだけで雰囲気が変わって、別の分類群のようです。マリーゴールドBidens 属の園芸種等に見えなくもない。葉を見れば違うことがすぐに分かりますが。

 

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舌状花の基部が赤褐色になるタイプ。同属他種にも同様な特徴を持つものがいるので、この特徴だけで同定しない方がいいです。

 

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舌状花が " 管状 " 花になっているタイプ。

 

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1つの花柄の先端に頭状花が2つ付いています。まれに見つかりますが、これもこういう品種なんでしょうか?海外の園芸サイトを巡ってみましたが、よく分かりませんでした。

 

 やはり目立つ部分が品種改良の対象になりやすいのか、舌状花の変異が大きいですね。実際には、これらの形質が複合的に発現していたり、発現の程度も様々なので、株ごとに個性があります。変わった株を探してみるのも面白いかもしれません。一方で、これだけ多様性があると、花だけで種を同定するのは難しいと思えます。

「オオキンケイギク」とされる植物の形態的特徴

 かなり前ですが、うちの近所で見られる「オオキンケイギク」は、環境省の同定マニュアルに従うとオオキンケイギク ( Coreopsis lanceolata ) ではないかも、てなことを書きました。近所の「オオキンケイギク」は、地上茎の上の方まで葉が付いており、ホソバハルシャギク ( C. grandiflora ) の方が近いように思えたからです。そこで、3か所で「オオキンケイギク」と思われる植物の形態形質を調べてみました。ちなみに、調査したのは2015年の5月~6月。書こう書こうと思いつつ、1年経ってしまった・・・

 

 調査地点は、岐阜県東部で2か所と、愛知県西部で1か所。それぞれ、St. 1 (岐阜県東部・河原)、St. 2 (岐阜県東部・幹線道路沿い)、St. 3 (愛知県西部・川沿いの土手)としました。今回は全部一人でやるっていうこともあったので、オオキンケイギクとホソバハルシャギクを識別することに重点を置き、Strother ( 2006 ) を参考に、調べる形態形質を2つに絞りました。それは、1. 地上茎の高さごとの葉の数、2. 地上茎の節数です。計測は、すでに開花した株の、最も大きい地上茎を1本選んで行いました。また、同じ株の地上茎を選ばないよう、互いに1 m 以上離れた株を用いました。

 

 まずは、葉の数の結果。

地上茎の高さごとの葉の割合

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左が地上茎の 1 / 2 の高さより下にあった葉の割合、右が上にあった葉の割合。ブラックがSt. 1、ダークグレーがSt. 2、ライトグレーがSt. 3。エラーバーは標準偏差です。縦軸は、全体の何%の葉がどの高さに付いていたかを示しています。この割合は、単純に葉の数から算出したものです(重量とかではなく)。それぞれn = 100。

 日本語が下手ですが、こうやって半分より下側の葉と上側の葉の枚数を数えたってことです。

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St. 2 とSt. 3 では、さらに細かく分けて数えてみました。

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ダークグレーがSt. 2、ライトグレーがSt. 3 です。左から、1 / 3より下、1 / 3から1 / 2、1 / 2から2 / 3、2 / 3より上の葉数の割合を示しています。

 こういうことね。

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 3つの調査地点の植物は、いずれもほとんど(平均で約67 ~ 80 % )の葉が、地上茎の高さの半分より下側にあり、さらにSt. 2の結果からは、1 / 3より下側に多い(平均で約64 % )ことが分かります。St. 3では高さごとの割合の差が小さく、ばらつきも大きくなっています。これは、St. 3では植物の密度が高く、下層の葉が落ちていた株が多かったことが原因だと考えられます。

 

次に、地上茎の節数。

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上と同じく、エラーバーは標準偏差、n = 100。

 3地点とも、節数の平均が、約6でした。一応、分散分析の結果、St. 3 だけ他の2箇所より有意差がありましたが ( P < 0.05 )、グラフ上ではほとんど同じに見えますね・・・。Strother ( 2006 ) に従ってオオキンケイギク ( C. lanceolata ) とホソバハルシャギク ( C. grandiflora ) の特徴を比較すると、

葉が付く高さ C. lanceolata: 1/4 - 1/3 ( -1/2 )

       C. grandiflora: 2/3 - 7/8

地上茎の節数 C. lanceolata: 1 - 3 ( -5+ )

       C. grandiflora: 6 - 10+

葉の位置については、私が調査した植物はオオキンケイギクに近い傾向がありました。地上茎の節数から見ると、オオキンケイギクの特徴と異なるように思えますが、オオキンケイギクの変種、var. villosa は節数が5より多くなるらしく、今回の結果と合致しています。なので、飽くまで地上茎の特徴から判断した場合ですが、3つの調査地点の植物は、Coreopsis lanceolata var. villosa の可能性が高いと思います。

 

 環境省の同定マニュアルに掲載されている検索表の一つでは、オオキンケイギクは「茎葉は1~2対」(茎葉は1節に1対出るので、節数と対応している)とあります。しかし、私が調査した植物は、多くがこれに合致しませんでした。もし、日本国内の他のオオキンケイギクも同じ傾向があれば、この検索表によって「オオキンケイギクではない」と判断される可能性があります。同マニュアル中で「ホソバハルシャギク」とされている写真も、私が調査していた植物によく似ています。

 しかし、日本国内で野生化している「オオキンケイギク」が、全て C. lanceolata だとは言えません。私はこの調査で何百株と見てきて、かなり形態差があると感じました。今回「オオキンケイギク」として計測した株の中に、他種や交雑種が混ざっていた可能性は十分あります。でもまあ、全体的に上記のような「傾向」があったのは事実なので、このブログでは当分オオキンケイギクの変種 ( C. lanceolata var. villosa ) として扱うことにします。

 

参考文献

Strother, J. L. 2006, Coreopsis. In: Flora of North America Editorial Committee, eds. 1993+. Flora of North America North Mexico. 19+ vols. New York and Oxford. Vol. 21, pp. 185-197.

環境省, " 特定外来生物同定マニュアル(植物)詳細PDF版 " 外来生物法,  http://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/manual/shokubutsu2.pdf , 参照 2016-5-30.

雰囲気同定

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 茨城県の河川で採取したテナガエビ科の一種。以前に、これと同種と思われる個体を、スジエビではないと書いた気がしますが、肝上棘が無いことや額角の歯式から、スジエビ属 ( Palaemon sp. ) っぽいです。ちゃんと調べてから書かないとだめですね。

なんとか咲いた

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オランダガラシNasturtium officinale ), 外来

採取地:岐阜県東部

 自分で食べようと思って、採取した株を栽培してみました。蛍光灯で育てようとして何度も失敗していましたが、窓際に置いてみたら、なんとか生育しています。ですが、野外の株と比べると、かなりひ弱な印象です。日射量が少ないのが原因でしょうか?かといって、種子の飛散等のリスクを考えると屋外での栽培は控えたいし・・・

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 茎のあちこちから発根しています。野外の株って、明らかに水上に立ち上がっている茎からも発根してましたっけ?アブラムシ対策のために頻繁に水をかけているためでしょうか。

 

おまけ

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撮影地:岐阜県東部 ( 2014. 4. )

 そういえば、だいぶ前にこんな写真を撮っていました。めったにない(?)アンダーウォーターな視点からのオランダガラシ。水中では、根が思いっきり露出しています。

節足動物は人に馴れるか

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 茨城県産のテナガエビ類の一種。ピンセットから採食中。標本にするつもりで採取したものの、歩脚がほとんど欠けていたため、しばらく飼育している個体。飼育を始めた当初は、餌を与えても人が見ているとなかなか食べようとしませんでしたが、今は人がのぞき込むだけで、水面に向かって何か掻き集めるような行動をするようになりました。なんだか、金魚を飼っているのと同じ気分になってきます。

 魚をはじめ、多くの脊椎動物は、飼育下ではヒトが餌をくれる存在であることを学習します。このことは、脊椎動物を飼育したことがあれば、たいてい経験すると思います(飼育方法によりますが)。しかし、このエビのような節足動物が同様な行動を示すのは、私は初めて経験しました。節足動物はほとんど反射で動いているようなものだと思ってました(ハチの学習に関する話は聞いたことあるんですが)。

 このエビは、本当にヒトが餌をくれることを学習しているんでしょうか。もしそうだとすれば、他の甲殻類や節足動物も、同様に馴らすことができるんでしょうか。旧口動物と新口動物、動物の2大系統(?)を構成するそれぞれの生物で、この学習能力は独自に獲得されたものでしょうか。それとも、両者の共通祖先の段階で、この程度の学習能力をすでに持っていたのでしょうか。このエビ1匹を見ているだけで、いろいろ妄想が捗ります。

 

 余談ですが、野生動物は人に「馴れる」ではなく、「慣れる」であると言われます。愛玩動物との違いを強調するために、この使い分けには賛成です。しかし、手元の類語辞典で「馴れる」をひくと、「警戒心や緊張感をもたないですむようになること」とあり、今回はこのニュアンスが適切だと思ったので、敢えて「馴れる」を使っています。