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Gardens for Aliens

嫌われ者のフィロソフィ

続 屍を超えて行け

趣味

 前回に引き続き、個人的ヒメヤスリヘビ飼育例を紹介していきます。

 

餌の基本事項

・餌は主に魚。

・頻度はだいたい1~2週間に1回(1か月食べさせなくても平気でした)。

 

 給餌に関しても、Lillywhite ( 1996 ) を参考にしていますが、実際にはかなり苦労し、試行錯誤の連続でした。うちの給餌方法について書く前に、まず、この種の特異な捕食行動について触れておきます。

 魚食性のユウダ類等(うちでも飼育しているヒバカリや Natrix tessellata とか)は、獲物を目で追うような動きをしますが、ヒメヤスリヘビの場合、捕食に視覚を用いているような行動は見られませんでした。その代り、餌が体に触れると敏感に反応し、胴体で挟み込むようにして、魚を捕えていました。普通に口で咬みつく場合も多くありましたが、いずれにしても、餌を捕えると、体を巻き付けて相手の動きを抑えます。とにかくぐるぐる巻きにした後、このヘビは口で魚の体を探り始め、必ず頭から飲み込みました(どうやって頭を判別していたのかは謎ですが)。どうやら、このヘビの捕食行動で重要になるのは、皮膚への機械的な刺激のようです。

 

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ヒメヤスリヘビの体。細かい鱗と弾力性のある皮膚で、魚を捕えます。ヤスリヘビの仲間は革製品にされるだけあり、めちゃくちゃ肌触りがいいです。

 次に、具体的な給餌方法について書きます。

 

生餌の与え方

 ハゼ類:水槽に放り込むだけ。泳がせておけば、勝手に食べました。

 金魚やメダカ等、中層以上を泳ぐ魚:水深を浅くし、魚が強制的にヘビと接触するようにすると、食べました。水替えのついでにやると楽です(底生の魚でも、ドジョウはぬるぬるしているためか、捕まえるのが苦手なようでした)。

 

 飼育を始めたばかりの頃は、うちの個体は、金魚をなかなか食べませんでした。水深を浅くすることで、捕まえさせることはできるんですが、その後、飲み込み方が分からない様子で、何度も試みた後、諦めて放してしまうことが多くありました。どんな魚でも必ず頭から飲み込もうとするんですが、金魚の場合は頭が認識しづらいように見えました(その後、コツをつかんだのか、食べるようになりました)。

 

 捕まえた魚を放してしまうパターンがもう一つありました。それは魚が動かない時で、そのために、死んだ魚に餌付けるのに非常に時間がかかりました。飼育を始めたばかりの時は、生きた魚を用いたほうが楽だと思います。以下に、我流死んだ魚の与え方を書きます。

 

死んだ魚の与え方

 まず、死んだ魚で、ヘビの体をつつきます(普通のヘビにこんなことすると、怒られるか逃げ出すかのどちらかだと思いますが)。すると、ヘビは餌に咬みつきつつ、体を巻き付けます。ヘビの頭に近い方をつつくと、比較的反応が良かった気がします。この辺は、初めは半殺しにした魚を使うとコツを掴みやすいかもです。

 ここまでは簡単なんですが、問題はその後です。ヘビは、巻き付いた相手が動かないと、放してしまいます。私は、ヘビが飲み込み始めるまで、ピンセット等で餌を動かしていましたが、これは本当に難しい作業でした。魚がヘビの体に完全に覆われてピンセットで掴めなくなってしまったり、ピンセットごと巻き付かれて動かせなくなってしまったり、動かし方が悪いのか巻き付いてくれなかったりしました。これを繰り返すうちに、こちらがコツを掴んだのか、ヘビの方が学習したのか、死んだ魚も(切り身でさえ)食べてくれるようになりました。

 このように、死んだ魚を与えるのは非常に労力がかかりましたが、ハゼ類だけは例外でした。死んだハゼ類を水槽内に無造作に沈めておくだけで、いつの間にか食べていました。ハゼ類に関しては、においだけで餌だと認識できるのかもしれません。このヘビにとって、ハゼ類は本当に特別らしく、もしなかなか餌を食べないという個体がいたら、試してみる価値はあると思います。以下、うちの個体が飼育中食べた餌です。

 ハゼ類(ヨシノボリ類・チチブ・ナンヨウボウズハゼ類・バンブルビーゴビー)・金魚(小赤)・メダカ・グッピー・モーリー・ドジョウ・アジ(5 cm 位のサイズ)・ワカサギ・タラの切り身

 アジ、ワカサギ、タラはスーパーで買ったものです。バンブルビーゴビーは、ヘビの大きさに対して小さすぎたのか、あまり積極的に食べることはありませんでした(食べる時も、食べにくそうでした)。余談ですが、生き残ったバンブルビーゴビーが、水槽内で勝手に繁殖したことがありました。この魚もあまり繁殖例を聞きませんが、もしかしたらヒメヤスリヘビ用の環境がこの魚にも適していたのかもしれません。

 

 最後に、この個体の死について書いておきます。死ぬ数日前まで餌もいつも通り食べており、原因不明の突然死でした。この個体が死んだのが冬、最も冷え込んだ日だったことから、低温が関わっているのではないかと思っています。急激な温度変化に弱いらしいので、もっとしっかり保温しておけばよかったかもしれません。

 

 詰め込みすぎて、まとまりのない感じになってしまいましたが、これでもいろいろ端折ってます。(苦労した分、思い出も多いので。給餌方法は文字で書いても分かりにくいので、動画を撮っておけば良かったと後悔)。飽くまで、たった1個体を飼育した経験を書いただけなので、他の個体、他の飼育環境でこれがどこまで参考になるか、分かりません。特に給餌方法については、正直言って、私自身また同じことをやれと言われても、できる自信がありません。

 しかし、この種は、形態や生態が多くのヘビとは異なり興味深い点、それほど大きくならない点、給餌頻度が少なく世話が楽な点等、お勧めできる要素が多くあり、魅力的なヘビだと思います。今回の情報で、このヘビ達が、少しでも長く生きる助けになり、ひいては繁殖技術の確立にも寄与できれば幸いと思い、長々と書いてみました。

 

参考文献

Lillywhite H.B. 1996, Husbandry of the Little File Snake, Acrochordus granulatus, ZooBiology, Vol: 15: 315-327.