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Gardens for Aliens

嫌われ者のフィロソフィ

節足動物は人に馴れるか

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 茨城県産のテナガエビ類の一種。ピンセットから採食中。標本にするつもりで採取したものの、歩脚がほとんど欠けていたため、しばらく飼育している個体。飼育を始めた当初は、餌を与えても人が見ているとなかなか食べようとしませんでしたが、今は人がのぞき込むだけで、水面に向かって何か掻き集めるような行動をするようになりました。なんだか、金魚を飼っているのと同じ気分になってきます。

 魚をはじめ、多くの脊椎動物は、飼育下ではヒトが餌をくれる存在であることを学習します。このことは、脊椎動物を飼育したことがあれば、たいてい経験すると思います(飼育方法によりますが)。しかし、このエビのような節足動物が同様な行動を示すのは、私は初めて経験しました。節足動物はほとんど反射で動いているようなものだと思ってました(ハチの学習に関する話は聞いたことあるんですが)。

 このエビは、本当にヒトが餌をくれることを学習しているんでしょうか。もしそうだとすれば、他の甲殻類や節足動物も、同様に馴らすことができるんでしょうか。旧口動物と新口動物、動物の2大系統(?)を構成するそれぞれの生物で、この学習能力は独自に獲得されたものでしょうか。それとも、両者の共通祖先の段階で、この程度の学習能力をすでに持っていたのでしょうか。このエビ1匹を見ているだけで、いろいろ妄想が捗ります。

 

 余談ですが、野生動物は人に「馴れる」ではなく、「慣れる」であると言われます。愛玩動物との違いを強調するために、この使い分けには賛成です。しかし、手元の類語辞典で「馴れる」をひくと、「警戒心や緊張感をもたないですむようになること」とあり、今回はこのニュアンスが適切だと思ったので、敢えて「馴れる」を使っています。